アフリカ旅行記⑧
バオバブ『母なる森』とご対面
バスからの夕陽が忘れられない
美しい緑の惑星に
炎のような太陽が辺りを橙色の世界に変える
うっとり見つめながら後ろを振り返ると
モクモク雲がピンクと薄紫に染まっている
『全部受け取っていいんだよ』
炎のような太陽だけでも美しいのに
ピンク色の雲も加わって
どちらかひとつだけを選ぶ必要はなくて
望むものは全て遠慮なく受け取っていいんだよ
というメッセージが聞こえてきました
左を見ると
雲間から稲妻と雷が鳴り響いてる
なんという祝福よ
恍惚と喜びに包まれながら
16時間の長旅を終えて
22時、真っ暗な目的地ムルンダバに
到着したのでした
翌朝、早朝にパッと目が覚めて
海岸を散歩してたら、英語で話しかけられた
地元のガイドさんだったので
ちょうど英語が話せる人を見つけたかったので
ラッキー
夕方、バオバブの木に
連れて行ってもらうことに
ボコボコ道を通って
ちらほらとバオバブの木が見えた先に…
ついた
堂々と樹齢2000年とも言える
バオバブが立ち並ぶ
これを見に、マダガスカルに来たのだ
木の肌にそっと触れると
ずっしりとギュッと中身が詰まった
軸が地面の中にしっかりと根付いている感じが
手を通して確かに伝わってくる
夕方が近づいてくると
青と橙色のグラデーションに
バオバブの木たちが浮かび上がる
どの角度から見ても、堂々とそびえたつ
力強くも優しい姿に見惚れた
翌朝4時
今度は朝日の時間にバオバブを見にいく
この日は曇りで途中から雨が降ってきた
朝日もイマイチだった
『愛し合うバオバブを見に行きたい
バオバブ並木道以外も案内してくれると
言ったよね』
ガイドさんがドライバーと交渉してる
愛し合うバオバブは
7キロくらい離れてるらしく
ボロボロの車だし、雨季で水溜りもあるから
壊れるの嫌やから行きたくない
ということらしい
『いやいや、約束違うやんか
色々案内してくれるって言ったよね
バオバブの木を見に
マダガスカルにきたんだし』
わたしだって、はい、そうですかと
すごすごと引き下がるわけにもいかない
行ったりきたりの交渉をしていると
なんと!!!牛車!!!!!
『これに乗らせてもらったら
いいやんか!!!』
ガイドさんに交渉してもらい
乗せて連れていってもらえることに
見てるのと乗るのでは大違い
荷台に乗るとめちゃくちゃ揺れる
しっかり荷台の縁を持って
足で踏ん張らないと、ポーンと
外に放り出されるくらいの揺れ具合
手綱を引っ張っている人は
牛を長い木の棒でピシピシたたいて
糞まみれの!!尻尾をぎゅうと掴んで
手綱代わりにしている
糞がピチピチ顔についてる
なんだか色々すごすぎる
しかし、初めての経験すごく楽しい
バスで16時間の時も牛車をたくさん見たけど
荷台に乗るのもこんなに大変なんだな…
荷台に座っていた2人は
米とキャッサバを街に売りにいく途中らしい
1時間かけて自宅から畑に
さらに1時間かけて畑から街中に
その途中でお時間をいただけて
本当にありがとうしかない
この、愛するバオバブに行く道が
実によかった
バオバブ並木道はすごくよかったけど
近くでみると
バオバブの木たちに各国語で名前とか
たくさん彫ってあって痛々しかったし
お土産物やさんとか
お金をくれと要求してくる子どもとか
ものすごく観光地されすぎてたのだ
バオバブの木の声を聞こうと思っても
内側をぎゅっと閉ざしている感じがして
心から通じ合えない寂しさを感じていた
牛車で揺られて通った道すがら目に入る
緑の広大な大地に
大きいバオバブや小さいバオバブ
頭に葉っぱが生い茂っているのもあれば
ちょろっとしかないのもある
実に多様な、ありのままのバオバブが
生き生きと、人間に邪魔されずにすくっと
宇宙の果てまで伸びているさまが
惚れ惚れするほど美しく、尊かった
バオバブは
宗主国だったフランス人がつけた名前で
マダガスカル語では
レナラ=mother forest 母なる森という
1本でも森のような木だからだ
太宰府天満宮も天神様の森という
宇美八幡宮もくすのきを湯蓋の森、という
同じ言葉の使い方に感動した
樹齢もバオバブも、くすのきも
最大2000年ほど、同じ年数を重ねている
そして、わたしの屋号『森をツナグ』の森は
樹齢が長い1本の木を意味していたのだと
気付かされた
日本で、世界で、そういう『森』を
繋いでいくことになるのだな、と
→続く
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