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霧の中、宝満山へ

  • 執筆者の写真: 森をツナグ
    森をツナグ
  • 3月1日
  • 読了時間: 1分
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スリランカから帰国して初めての宝満山。


霧がかかり、木々の輪郭が寄り添い合う。

ひとつひとつの緑が深く、

その息遣いが山全体に響いている。


一本、一本、木は呼吸をし、

その呼吸はやがて森の声となる。

とてつもなく、圧倒的に美しい。


すべてが溶け合い、

私はその中に吸い込まれていく。


息を吐けば、新たな息が入ってくるように

水が蒸発すれば、大地はまた水を吸い上げる。

 

そこに「こうしよう」という意志はない。

ただ、自然な循環があるだけ。


湿気をまとい

木々はしっとりと苔に覆われる。


ビロードのような緑が、そっと息をする。

それぞれが共鳴し合い、共存し合い、

生きている。


なんと美しい姿だろう。


今日から3月、春が始まる。


山もまた新しい命を吹き込み、

芽吹いていく。


ふいに、雨。

葉が優しく受け止め、

雫はぽつぽつと頭に触れる。


ひと粒の雨が大地に染み込み、

やがて川となり、海へと流れ、また巡る。


なんと美しい自然の循環よ。


墨絵のような世界に、

思わず足を止める。


久しぶりの雨に、

木々はただ、静かに喜んでいる。

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福岡県 太宰府

© 森をツナグ

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