『見えないものを見る』
それが得意なんだと自覚したのが、小説家 田口ランディさんのクリエイティブライティング講座を受けた時のことでした。
創造的なクリエイティブな文章を書くためには、ビジュアライゼーション(視覚化)が必要とのことで、『真っ白な箱』が目の前に置かれて、その『真っ白な箱』を丁寧に見て、頭の中にその映像を入れて、言語化していきます。
箱の色は真っ白、紙でできていて、手で触るとすべすべした質感。箱の上部は黒の二重線が描かれていて、横には英語の文字が書かれている。そういった箱の特徴を五感で描写していきます。
すると突然ランディさんが 『はい!ではこの箱の中に何が入っているか当ててください!」と言いました。
『えっ???見えないよね???蓋してあるし!』
20人ほどいた場内はざわざわ。
『視覚化が進むと、頭で何も考えなくなり、五感が働いてきます。その先に六感があって、直感力が働きはじめます』とランディさん。
1回目。視覚化を進めていくと、ふと、オレンジの花びらのような薄いものが、バラのように何枚か重なっている感じが見える感じがしました。オレンジの他にも緑も見えました。薔薇かな?お花かな?
正解は100円ショップで買った、「ハンバーガーのおもちゃ」でした。
なんだぁ、花じゃないのかぁと思ったら『大切なのはモノをあてることじゃなくて、その形状や要素を見ること』といいます。
なるほど、ハンバーガーと花は違うけど、オレンジの薄いものが重なっている感じは、バンズとパテとチーズの感じに似ているし、緑はレタスに似ている。要素的には当たってました。
2回目。白いボールが見えました。触るとぷにぷにする感じ。中に空気が入っている感じ。ボールの中に空気が入ってるのは当たり前だよね。でもなんだろう?
正解はイメージした通りのボールでした。これにはわたしもびっくり。触るとぷにぷに。中にはゼリー状のものが入ってました。空気が入っているのが当たり前と思ってたけど、ゼリー状のものだったかぁ。
3回目。たくさんの細い棒のようなものが、開けた瞬間、バッと飛び出てくる感じがしました。
正解は、エノキの絵のポストイットでした。あれ?全然違った!と思ったら、実はそのポストイットの前に入れていたのが、ポテトでした。1回目がハンバーガーだったし、同じ系統だから、直前に入れ替えたとのこと。最初にいれたポテトの記憶が残っていたんですね。バッと飛び出てくる感じも、入れ替えた時の残像だったんだなぁと。
合計3回繰り返しましたが、20人ほどいた参加者の中で、私が一番、的確に当てていました。
「これは誰しもが持っている感覚です。磨いていけば、感覚が鋭くなっていく」とランディさん。
あぁ、私が整体やセッションでやっているのは、これなんだなと腑に落ちました。身体も、心も、触れていると、見えないものが見えてくる。ふと言葉や感覚が降ってくるものを、お客さまにお伝えする。そうするとお客さまは自分の中にある感覚を言われるので、そうそう!しっくりします!となって、話しながらそこを明確にしていっているのだなぁと。
『見えないものを見る』
見えないものだからこそ、かけがえがなくて大切にしたいもの。
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